Episode 1 第1話
「魚平」は、土地計画で深川を立ち退き、山の手の東北沢の商店街のマーケットに引越して来た。同じマーケットで肉屋を経営する中央玉之輔(佐野浅夫)が、愛の亡父の友達であった事から引越して来られたのだ。 愛が引越し荷物の整理に大わらわのところへ、向かいの八百屋の長男・元気(石坂浩二)が手伝いに来た。元気は美術大学を卒業したデザイナーだが、全く力がなく、引越しの手伝いもそこそこに帰ってしまった。
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3シーズン · 135話
「魚平」は、土地計画で深川を立ち退き、山の手の東北沢の商店街のマーケットに引越して来た。同じマーケットで肉屋を経営する中央玉之輔(佐野浅夫)が、愛の亡父の友達であった事から引越して来られたのだ。 愛が引越し荷物の整理に大わらわのところへ、向かいの八百屋の長男・元気(石坂浩二)が手伝いに来た。元気は美術大学を卒業したデザイナーだが、全く力がなく、引越しの手伝いもそこそこに帰ってしまった。
深川から東北沢のマーケットに引越した「魚平」で、歌(山岡久乃)と愛(水前寺清子)の新しい生活が始まった。 威勢の良い仕事だけに、口喧嘩も派手な母と娘だが、父の死後、「魚平」を背負って立とうと頑張る愛に、歌は心の中で手を手を合わせて感謝していた。愛もまた、口にこそ出さないが、歌への思いは同じだった。 「魚平」の開店大売り出しには、肉屋の玉之輔(佐野浅夫)の手伝いもあって大盛況。 酒屋の女主人乙美(園佳也子)は、初鰹の切り身を買いに来たが、八百屋の百子(葦原邦子)が鰹を一匹丸ごと買って行った為、敗けじとばかり百子のより大きなのを買って鼻高々。普段から乙美にライバル意識を燃やす百子は、あまりの悔しさに大むくれ。 おかげで百子の息子元気(石坂浩二)や明子(井上順)は、初鰹にありつけたものの、とんだとばっちりを受ける事になった。
四軒市場に住みつき、久し振りに余裕ある時間を持った愛(水前寺清子)と歌(山岡久乃)は、一人で淋しそうにしている化粧品屋の一人息子善吉(坂上忍)を家に上げ、夕食をご馳走した。愛は下町風の気安さで、見も知らぬ善吉を食事に呼んだのだが、善吉の母右子(草苗光子)と善吉を捜しまわっていた焼鳥屋の三三九(児玉清)は、愛や歌が無神経過ぎると言って怒った。 一方、八百屋の百子(葦原邦子)は、酒屋の乙美(園佳也子)が自分のより大きな鰹を買い込んだので機嫌が悪かった。その上、息子の元気(石坂浩二)から年寄り扱いされ、頭にきて不貞寝を決め込んだ。 おかげで元気が仕入れに行く事になったが、「魚平」では愛が仕入れに行くと聞き、大張り切り。野菜のふちょうを覚えたり、仕入れに行くスタイルを考えたり、大変な熱の入れよう。ところが翌朝になって、「魚平」の仕入れの役は、その日に限って母親の歌だった……。
仕入れに行った八百屋の元気(石坂浩二)が、キャベツのダンボール箱の下敷きになった話は、その日のうちにマーケット中の噂になった。 愛(水前寺清子)は、男のくせにキャベツも担げない元気を軽蔑。元気の母・百子(葦原邦子)も、八百屋の名折れだと、元気と明子(井上順)に、毎朝水入りバケツを持って町内をマラソンしろと命じた。 一方、周期的にヒステリーを起こす酒屋の乙美(園佳也子)は、「魚平」が越してきて以来、ハエが多くなったと騒ぎ出し、あげくの果てに乙美と息子の唯一(岡本信人)が親子喧嘩を始めた。そればかりか親子喧嘩を止めに入った明子が乙美の投げた缶詰で怪我をした事から、乙美と百子がいがみ合いの大喧嘩。たまらなくなった愛は、四軒市場から逃げ出したと言い出した……。
四軒市場に引越して以来、隣り同士の口喧嘩ばかり見せられた愛(水前寺清子)は、マーケットの生活に嫌気がさしていた。だがそんな愛をなだめようと接近する機会を担っていたのが、元気(石坂浩二)だった。元気は、愛に気に入られる力強い男になろうと、弟の明子(井上順)と共に、体力作りを始めた。 そんなある日の朝、歌(山岡久乃)と酒屋の乙美(園佳也子)が、自分達の年齢の話がもとでまたもや衝突。売り言葉に買い言葉。二人の猛烈な口喧嘩が始まった。 いつも火消し役の乙美の息子・唯一(岡本信人)にも、手におえない有様。仲裁に入った元気は、歌をなだめる為近くのあんみつ屋へ引っ張りこんだ。これも、元気が愛に近付く為の作戦だったが、元気の優しさに好感を持った歌とは逆に、愛は反発するばかりだった……。
「魚平」に、酒屋の息子・唯一(岡本信人)の父・七之助(松下達夫)から電話が有り、唯一に会いたいから連絡してくれと伝えてきた。七之助は、唯一の母・乙美(園佳也子)と別れた後で、別な女性と再婚したが、唯一は、乙美に内緒で七之助と度々会っていたのだ。 唯一と七之助の連絡役を引き受けた愛(水前寺清子)は、唯一に知らせようと酒屋へ走ったが、乙美がデンと腰を据えている為、店の前をウロウロしてしまった。そればかりか、愛のただならぬ行動を見て乙美は、愛が唯一に気があるものと早合点してしまった。 その夜唯一は、七之助と「三三九」で落ち合い、久し振りに父と子の愛情を確かめ合った。 だが乙美は、唯一が急に居なくなったと騒ぎ出した……。
酒屋の唯一(岡本信人)は、愛(水前寺清子)の手引きで母・乙美(園佳也子)と別れた父に会う事が出来た。だが、乙美の厳しい追求に困った唯一を助けに入った愛は、母の歌(山岡久乃)の結婚相手の鑑定を唯一に頼んだのだと言ってごまかした。 乙美はごまかせたものの、四十女の歌が娘の愛を残して再婚するという噂が、乙美の口からマーケット中に広まってしまった。 これを聞いた八百屋の元気(石坂浩二)は、たった一人の母を再婚させる愛の淋しさを思い、愛を慰めにかかった。 再婚する女性は年下の男性と一緒になるケースが多いとか、歌の魅力を分析したり、果ては、親類同様になって愛の力になりたい等と言うものだから、愛はあらぬ勘繰りを始めてしまった……。
八百屋の長男元気(石坂浩二)が、愛(水前寺清子)の母・歌(山岡久乃)に親しく口をきいたり、みつ豆をおごったりした為、元気が歌に気があるものと早合点した愛は、持ち前の威勢で元気に詰寄った。だが元気の狙いが、隣同士フランクに付き合う事だと知って納得した。 一方、ケチで知られる焼鳥屋の三三九(児玉清)は、鰯一匹買うのに大変な考えよう。そんな時、化粧品店の右子(草苗光子)に頼まれて、愛はデラックスな刺身の盛り合わせを三三九に届けた。何かにつけて三三九に世話になっている右子の感謝の気持ちだったが、自分のケチを見透かされたと思った三三九は、貰う筋はないと、右子のもとへ返しに行った……。
八百一の次男・明子(井上順)の紹介で親類の松崎(石島房太郎)と、肉屋の長女・玉子(波乃久里子)が見合いする事になっていたが、この話にはワケがあった。玉子に好意を持っていつが、直接プロポーズ出来ずにいた明子は、松崎の名を使い、自分が見合いの席に出ようと考えていたのだ。 この日は、荒物屋の長女・名津(長山藍子)も見合いの日だった。だが、名津に気のある「三三九」の次男・行司(新克利)は、名津が見合いをすると聞いてショックを受け、寝込んでしまった。 行司の兄・三三九(児玉清)は、行司の恋する相手が玉子だと勘違いしてしまった。三三九は玉子に会うと、行司の為に今日の見合いを取り止めてくれと頼んだ。
八百屋の次男・明子(井上順)が肉屋の長女・玉子(波乃久里子)に自分を売り込もうと考えて計画したお見合いは、焼鳥屋の三三九(児玉清)の早合点でとんだ騒ぎになってしまった。 だが、玉子と結婚したいと言う明子の想いが玉子の親に通じ、二人の結婚が決まった。 そんな時、愛(水前寺清子)にも縁談が持ち込まれた。相手は愛の幼馴染で深川の魚屋「魚清」の次男・健二(前田吟)だった。
愛(水前寺清子)と歌(山岡久乃)は、化粧品屋の子供の善吉(坂上忍)をしばらく預かる事になった。善吉の母右子(草苗光子)が、西ドイツにいる夫との離婚話をつける為、ドイツへ行く事になった為である。 そんな翌日、結婚を前提に愛との交際を申し込んできた健二(前田吟)が、「魚平」に遊びに来た。デートに出掛ける愛と健二を見た八百屋の長男・元気(石坂浩二)の心は穏やかでなかった。 失恋したようにしょんぼりした元気を見た母の百子(葦原邦子)が、元気は愛に気があるのではないかとズバリ指摘した為、ドッキリした元気は散歩に行って来ると言って家を飛び出して行った。 百子は明子(井上順)の結婚が決まって安心したものの、元気の事を考えると一抹の不安を隠しきれなかった。その頃歌もまた、愛の結婚問題に母心を惑わせていた。
八百屋の長男・元気(石坂浩二)は、愛が深川の魚屋・健二と付き合っている事が気になってならなかった。愛もまた、元気の事が気にかかり、健二のプロポーズを受け入れかねていた。そんな愛と元気なのだが、顔を合わせるとすぐ喧嘩になってしまうのだった。 元気は、近く結婚する弟の明子(井上順)の為に、貯金をはたこうとしていた。それを知った明子は、感激のあまり泣いた。そして、元気と愛を一緒にさせてやりたいと歌(山岡久乃)に頼み込んだ。歌は愛の気持ちを打診しようとしたが、愛は元気の事になると、何故か話をそらしてしまうのだった。 愛も元気も共に総領で母一人の身である事が、愛の気持ちを迷わせていたのだ。そんな愛の心を知る歌は悩んだ……。
乙美と別居中の夫・七之輔が交通事故で怪我をした。愛達は乙美に名古屋行きを勧めたが、一度唯一に騙されている乙美は首をタテに振ろうとはしなかった。仕方なく唯一が一人で名古屋へ向かった。 だが、根は人情家の乙美は唯一一人では不安だった。そこで歌(山岡久乃)に頼み、自分の代わりとして名古屋へ行ってもらった。 一人で留守番をする事になった愛は、仕入先で一緒になった健二(前田吟)に手伝ってもらい、店をきりもりした。しかし、乙美は、愛と健二を二人だけにしておいて間違いが起こっては歌に申し訳が立たないと、店員の中(時本和也)に二人の監視を命じた。 そんな事を知らぬ歌は、乙美や唯一の為、七之輔の看病に一生懸命だった。
乙美の頼みで歌が名古屋の七之輔の看病に向かった夜、愛の目の前で二人の男が睨み合った。元気と健二だった。二人に他意は無かったが、愛にもしもの事があっては歌に申し訳がないと考えた乙美は、えらいけんまくで二人を追い出してしまった。 だが、用心の為に「魚平」に泊った乙美は、寝言の中で歌より先に七之輔のもとに向かった息子・唯一(岡本信人)の名を呼び続けていた。愛はこの時、乙美の子供を思う母心を知った。 翌日、名古屋から帰った歌は、乙美の前で七之輔の悪口をしゃべりまくった。 それは、七之輔と別れると言い張る乙美の心を変えさせる逆療法だった……。
名古屋で交通事故に遭い入院していた唯一(岡本信人)の父・七之輔(松下達夫)が、母の乙美(園佳也子)と帰って来ると言うので、唯一は鯛を買って待ち受けた。ところが、帰って来たのは乙美だけだった。またもや七之輔と喧嘩したのだ。 唯一は自分勝手な乙美に腹を立てたが、そんなところに、七之輔が松永(久米明)に伴なわれてやって来た。松永は、事故にあった七之輔を病院に運び、看病にあたった唯一や歌(山岡久乃)を世話してくれた人だった。
松永は、珍しい蛍を歌にプレゼントする等して好意を示した。だが愛は、そんな松永の好意と、それを喜んで受け入れる歌が、何となく面白くなかった。 結婚の決まった八百屋の明子(井上順)と肉屋の玉子(波乃久里子)は相変わらず甘いところを見せつけた。その上、明子の兄・元気(石坂浩二)が、電気屋のくら子(大鹿次代)に見合いの相手を探してくれるよう頼んだと聞き、愛は激しいショックを受けた……。
松永は歌に好意以上のものを持っているに違いない。愛は一人気をもむが、歌はそんな松永の好意をむしろ嬉しがっている様子なので、愛は面白くなかった。 そんな夜、愛と歌は浴衣姿で植木市に出て、「三三九」で焼鳥を食べた。そこへ教え子の中学生を連れた松永の娘の育(大空真弓)がやって来た。体操の先生らしくテキパキした身のこなしの育に、歌はすっかり感心してしまった。愛は歌に、松永の娘だからといってひいき目に見過ぎると言ってすねた。 その頃、荒物屋の名津(長山藍子)は、自ら山形の親戚へ養女に行こうとしていた。
歌を松永に奪われるという不安から、松永を極度に毛嫌いしていた愛は、突然やって来て歌の気持ちを確かめようとする育を、激しい口調で追い返した。しかし、一人暮しの松永や、愛と二人きりの歌の事を思ってやって来た育は、親の気持ちも確かめようとしないで突っぱねるだけの愛に腹を立て、わからずやと怒るなり「魚平」を出て行った。 愛は、ただがむしゃらに育を追い返したものの、歌の幸せを考えざるをえなかった。 迷い悩む愛は、八百屋の長男・元気(石坂浩二)に、それとなく親の再婚について元気の意見を聞いてみるのだった。
愛(水前寺清子)は未絵の両親(下條正己・野村昭子)に未絵の山形行きの心境を聞いてもらったが、なかなか上手く話せなかった。そんなところへ未絵を送って帰って来た元気(石坂浩二)が、未絵の両親を言い含める様に説得した。愛は、そんな元気にすっかり感心してしまった。 一方、結婚を急ぐ明子(井上順)と玉子(波乃久里子)は大安の日の結婚式場を見つけて予約した。それは一週間後という急なものだった。結婚式に着る着物を捜していると聞いた歌(山岡久乃)は、明子に夫の形見の紋付きを貸す事にした。愛が歌と父の結婚記念写真を仏壇から取り出そうとした時、松永(久米明)が歌に書いた手紙を見てしまった。
酔って歩けなくなった愛を元気(石坂浩二)がおぶって帰った。歌は何事かと驚いたが、愛は歌の顔も見たくないと寝てしまった。 翌日、二日酔いの愛は、歌が仕入れに出かけた後、元気に歌の事で自分の気持ちを訴え、松永のラブレターを見せようとした。 しかし元気は、例え親子でも愛情面にまで立ち入る事はよした方がいいと忠告し、人の幸せをわかろうとしない愛の様な奴はバカだと言った。愛は返す言葉もなかった。
歌が松永のプロポーズを断わってしばらくした日、元気の弟の明子(井上順)と肉屋の長女・玉子(波乃久里子)の結婚式が行われた。玉子の父の玉之輔(佐野浅夫)は、娘を嫁がせる日には、家族揃って赤飯を食べ、長い間ありがとうございましたと言う娘の挨拶を聞いて送り出すものだとばかり思っていたのだが、当の玉子はおろか、妻の方子(奈良岡朋子)までが美容院へ走り込んだり、忙しく動くばかりで、感激の無い朝となってしまった。 愛は新調の着物姿で式に参列した。元気はすっかり女らしくなった愛に目をみはった。 しかしその日、松永の娘の育(大空真弓)が「魚平」にやって来て、愛は気持ちの決断を迫られる事になった。
しばらくぶりに魚平にやって来て、歌に再婚話がある事を知った愛の幼馴染の健二は、愛を外に連れ出し、歌の幸せを考えてやるべきだと愛に言い聞かせた。だが、愛は健二の言葉に耳を貸そうとはしなかった。 健二はそんな愛を懸命に説得しようとするあまり、自分の女房になってくれとプロポーズした。 そんなところを散歩に通りかかった元気(石坂浩二)は、思わず物陰に隠れて二人のやりとりを聞いてしまった。五百万円も貯め生活設計まで考えていると言う健二の話に、元気はただ驚くばかりだった……。
焼鳥屋「三三九」で意見の違いから口喧嘩を始めた愛と育は、魚平に戻って決着をつける事になった。魚平に着いてからの愛と育は対決の構えだが、歌と松永は愛と育の子供の頃の話に夢中で愛や育の存在に無関心だった。しらけきった愛と育は二階へ上って向かいあった。 しかし育は、歌が作った可愛い座布団に母のぬくもりを感じ、二人は亡き父と母の話を始めた。愛は二才の時に父を亡くし、育は五才の時に母を亡くした。愛と育は互いの育った境遇に同情しあううち、いつしか敵対心を忘れようとしていた。
仕入先から帰って来た愛は、歌と育が楽しそうに食事をしていた事にヤキモチを焼き、御膳をひっくり返してしまった。 歌は愛の好意を悲しみ泣きながら二階へ上がってしまった。途方に暮れた愛は、元気(石坂浩二)を呼び出し、一部始終を打ち明けて相談を持ち掛けた。 今や愛が気楽に悩みを打ち明けられるのは元気以外には居なかった。元気は愛はヤキモチ焼きだけど女らしくていい等と変な誉め方をした。だがそこへ、電気屋の娘で元気と同じ会社に勤める三都(小鹿ミキ)がやって来て元気をあんみつ屋に誘ってしまった。そして三都は、元気を口説きにかかった……。
ある夜、歌は置手紙を残して、何処かへ出掛けてしまった。歌の手紙には、一人で考え事があるから温泉へ行って来ると書いてあった。愛は歌の決意に激しく動揺した。 翌朝、早く起きた愛は、歌が育の為に作った座布団を持って育にアパートを訪ねた。事によったら歌が来ているかもしれないと思ったが、歌は居なかった。
歌の家出騒動があってしばらく経った朝、仕入れに出掛けた歌は、かねてから愛にプロポーズしていた健二(前田吟)に出逢い、愛を嫁さんにくださいと申し込まれた。 丁度そこに居合わせた百子は、そんな健二の話を聞いて何故かショックを受けた。百子は、愛を自分の息子の元気(石坂浩二)の嫁にと、密かに思っていたのだ。 その日の夜、健二は愛に、歌と松永を幸せにしてあげる為にも、一日も早く結婚してくれと言ったが、愛は、自分がどういう風に返事をしたらよいのか迷うのだった……。
魚を買いに来た元気が、愛を嫁さんに下さいと歌に頼んだ。元気の突然のプロポーズにビックリした愛は、急に怒り出した。魚を買いに来たついでにプロポーズするなどとは許せない、と怒鳴り返してしまった。 愛は密かに元気に惹かれていた。だが、元気が事もあろうに魚を買いに来たついでにプロポーズした事に無性に腹が立ち涙がこぼれた。 元気の方もただ頭が混乱して、魚を買って帰るのも忘れてしまった。 その夜、元気が「三三九」で酒を飲んでいると、そこへ松永と娘の育(大空真弓)がやって来た。元気は、松永の停年が一年延びた為、歌と愛を連れて名古屋へ行こうと話しているのを聞き、慌て出してしまった……。
愛と歌の間にあったわだかまりは、愛が歌と松永の結婚を許した事で解決した。一方元気は、自分の気持ちが愛に伝わらないのが、もどかしくてならなかった。また、次男の明子(井上順)を肉屋の中央家に婿養子に出した「八百一」では、母の百子(葦原邦子)が一人で苦労していた。 見かねた中央家の次女の素子(沢田雅美)は、勤め先の青果組合を辞めて「八百一」の手伝いを始めた。 この為、近所では「八百一」の長男・元気と素子の結婚の噂が出始めた。
愛と育は、歌と松永の結婚準備を進め、結婚式を十二月十六日と決めた。そして結納を取り交わす手はずを整えた。歌は、若い娘達の思い切ったやり方に苦笑しながらも、内心は嬉しかった。 育は「魚平」から名古屋の松永に結婚式の日取りの決まった事を電話で知らせたが、これを聞いた元気は、その結婚が愛と健二(前田吟)のものだと思い込んでしまった。
元気が歌と松永の結婚を愛と健二のものと思い込み、愛は元気が「八百一」の店を手伝い始めた素子と結婚すると思い込んでしまった。そして、素子に気のある酒屋の長男・唯一(岡本信人)も、素子が元気と一緒になるものと思い込み、一人心を痛めていた。 そんな中で、歌と松永の結納の儀式が、本を片手の愛と育の手で執り行われた。歌と松永は、愛と育の少し乱暴で強引な儀式のやり方に、ハラハラしたり、恥ずかしがったりで汗のかき通しだった。
唯一は、肉屋の次女・素子(沢田雅美)に気が合ったが、最近素子が「八百一」を手伝い出した事から、素子が「八百一」の長男・元気(石坂浩二)と一緒になるものと思い込み、悲観のあまりに家出してしまった。唯一の手紙には、遠回しな言い方ながら恋する者を奪われた悲しみと、他人の気持ちを考えずに、言いたい事を言ってしまう母・乙美への忠告が書かれ、自分は気持ちを静める為、坐禅を組んでくると言うのだった。 素子は、唯一が自分の事で悩んでいるとも知らず、唯一に家出する程思いつめた相手がいたのかと思うと恨めしくなった。素子はそんな気持ちを紛わす為、元気の部屋でウィスキーをあおった。そして、酔ってふらつく素子を元気が抱きかかえたところを、偶然愛が見てしまった。
家出した唯一は、マーケットの近くの新堀荒物店に上がりこんだ。驚いた荒物屋の名津(長山藍子)と未絵(音無美紀子)の姉妹は、泥棒の様に上がりこんで来て、押入れの中で坐禅を組む唯一に困り、相談相手に素子を連れて来た。唯一に好意を抱いていた素子は、唯一に失恋する様な相手がいた事に腹を立てていたが、唯一からその相手が自分だと聞かされ、思わず照れてしまうのだった。 そんな頃愛(水前寺清子)は、松永との結婚を一週間後にひかえた母親の歌を連れ、父の墓を訪れていた。
歌と松永の結婚式の前日、歌は松永と二人で住むマンションへの引越しに忙しかった。愛は、歌と松永の為、しばらくは二人だけの暮しをさせてやろうと思い、自分は一人で「魚平」に残る事になった。 八百屋の長男・元気(石坂浩二)は、そんな愛を、物騒だからと言って自分の家に下宿させようとした。ところが、酒屋の乙美(園佳也子)も愛を自分の家に下宿させようとした為、元気と乙美がやり合う事になった。 だが、乙美が元気と素子が一緒になると言う町の噂を口にした為、元気はそんな噂を打ち消そうとするあまり、誰にも言ってはならない、素子と唯一の仲をしゃべってしまった。愛はそんな元気を、男のくせに口が軽すぎると言って軽蔑した……。
歌と松永の結婚式の日がやって来た。愛と育がそれぞれの親代わりとなって付き添ったが、式場の係員は愛を花嫁と勘違いしたりしてテンテコマイ。それでも、うちかけ姿の歌は三十才そこそこにしか見えない美しい花嫁だった。 歌と松永は、親代わりの愛と育に感謝の花束を贈ると、京都への新婚旅行に旅立って行った。 式場から帰った愛と育は、互いの寂しさを労わり合いながら、親の幸せを喜びあった。しかし、一人「魚平」に帰る愛の姿は、寂しさを隠しきれなかった。元気(石坂浩二)はそんな愛の姿を見ながら、今夜一晩だけは愛を一人にしておいてやろうと思うのだった……。
歌が松永と結婚した為、愛は「魚平」に一人で住む事になった。そんな愛を見て元気は自分の家の二階に下宿させようと思うが、気の弱さから強引に出られないでいた。それでも、歌が旅行の間は、愛を朝食に呼んだり、仕入れにも一緒に行こうとした。 だが、そんなところにやって来た愛の幼馴染の健二(前田吟)が、愛の代わりに仕入れに行ってしまった。愛に接近しようとする元気は、またもやライバルの健二に邪魔されてしまった。 その日、歌が旅行の予定日を一日繰り上げ一人で帰って来た……。
大晦日。四軒マーケットは夜遅くまで忙しかった。「魚平」では、愛と歌がいつもと変わらず働いていたが、客足が一段落すると、愛は歌をマンションに追い帰した。 その夜、「魚平」にやって来た育(大空真弓)は、二段ベッドを二階に運び込んだ。育は、愛と二人で暮らそうと考えたのだ。愛と育は、歌と松永をそっとしておこうと二人だけの正月を迎えようとしていたが、そこへ歌と松永がやって来た。その上、大晦日が誕生日だという元気(石坂浩二)もやって来て、「魚平」では大晦日の慌しさの中で元気の誕生パーティーが開かれた……。
四軒マーケットの住人は清々しい気持ちで元旦を迎えた。ところが、正月気分に浮かれている最中、マーケットに空巣が入って大騒ぎとなった。 盗られた物は、トイレット・ペーパーやシクラメンの鉢植え等、被害と言える程の物ではなかったが、乙美(園佳也子)や百子(葦原邦子)は警官を呼んで騒ぎ立てた。 「魚平」で寝ていた愛と育は騒ぎに起こされたが、そんなところにやって来た健二(前田吟)は、女世帯は危険だから自分が「魚平」の警備の為に泊り込むと言い出した。これを聞いた元気(石坂浩二)はじっとしていられなくなった……。
ある朝、八百屋の長男・元気(石坂浩二)が一人で朝食の仕度をしているところへ野菜を買いに来た電気屋の娘・三都(小鹿ミキ)は、代わりに朝食を作り、元気のセーターのほころびを直してあげようとした。三都が元気の着たままのセーターを直してあげようとして、互いに抱き合う様な姿勢になったところを偶然にも酒屋の乙美(園佳也子)と育が見てしまった。 元気と三都が朝からラブシーンを演じていたという噂が、乙美の口からマーケット中に広まった。これを耳にした愛は動揺したが、そんな愛の気持ちを知る育は、元気の様な女たらしは諦めろ、と愛を慰めにかかる有様となった……。
三都との仲をすっかり誤解された元気は、何とか三都を遠避けようとするが、気の優しい元気は、それが出来ないでいた。そんな元気の優柔不断さに腹を立てた百子(葦原邦子)も家を飛び出して行った。 百子は一人焼鳥屋の「三三九」へ行ったが、そこには、素子(沢田雅美)との結婚を素子の父親・玉之輔(佐野浅夫)に断わられた酒屋の長男・唯一(岡本信人)が自棄酒を飲んでいた。 百子は唯一と二人で酒を酌み交わしたが、飲めない酒を飲んで酔ってしまった唯一は、人が変わった様に大声で歌い踊り始めた。そんなところへやって来た玉之輔と方子(奈良岡朋子)は、素子との結婚は絶対許さないと決めつけてしまった……。
乙美から唯一と素子の仲人を頼まれた歌と松永は、早速中央家を訪ねて行ったが、素子の両親から、素子も唯一を好きではないはずと、素気無く断わられてしまった。 そんな頃、両親が唯一との結婚を反対していると知った素子は、親友である荒物屋の未絵(音無美紀子)に相談を始めていた。 未絵が唯一を想っている為、素子が未絵の為に、心ならずも唯一を嫌いだと言ってしまったという筋書きを作り、未絵の協力を頼んだ。これは、縁談を断わられて逆上した時の乙美を納得させる手段でもあった。 未絵は実行にうつした。熊取家を訪ねた未絵は、唯一と乙美を前に結婚を迫ったのだ……。
暗礁に乗り上げた素子と唯一の結婚に一役買って出た元気は、唯一と素子の結婚対策を、愛(水前寺清子)と育(大空真弓)に相談した。 その結果、マーケットの中の若者が、団結協力して二人を応援する事になった。 唯一は、素子の両親を説得する口上を練習する一方、心を落ち着ける為のあらゆる呪いをして、素子の家に乗り込んで行った。しかし、談判は決裂した。 男泣きに泣く唯一を前に、集まった若者達は次の解決を練った。そして、愛から出された名案は……。
愛達は、唯一と素子の両親を焼鳥屋の「三三九」に呼び出すと、二人の成長の記録をスライドで見せながら、二人が子供の頃から仲良しであった事などのエピソードを盛り込んで訴えた。愛や桔梗(佐良直美)の歌などで効果をあげたこの作戦は見事に成功、すっかり感激した親達は、唯一と素子の結婚を許した。 唯一と素子の結婚問題の解決は、マーケットに爽やかな空気を吹き込んだが、それが火付け役となったように、その翌朝、元気を訪ねて来た三都(小鹿ミキ)の母・くら子(大鹿次代)は、元気に三都との結婚を迫った……。
百子にしめ出され、途方に暮れる元気に同情した育(大空真弓)は、元気を「魚平」に泊めてやる事にした。元気は、女物のパジャマを着せられ、愛や育の寝ている二階には絶対上がって来ないという条件付で「魚平」に泊った。 しかしその夜、マーケットの近くで火事があり、知らせに駆けつけた名津(長山藍子)は、女物のパジャマ姿で「魚平」から出て来た元気にビックリ。元気が「魚平」に泊ったという話がマーケット中に広まった……。
健二が怪我をしたと連絡を受けた愛(水前寺清子)は、元気と共に河岸へ走った。健二の怪我は軽い捻挫だったが、健二にとって、愛が元気と一緒に迎えに来たのが面白くなかった。 一方、元気に結婚を断わられた三都(小鹿ミキ)は、元気のいる会社を辞め、「三三九」で働く事になった。また、結婚する事になった唯一(岡本信人)と素子(沢田雅美)は、親の希望を退け、アパートを借りて独立しようとしていた。 マーケット中が結婚旋風で沸き立っていたが、親達の思いはそれぞれ複雑だった……。
元気に失恋した三都は、元気と同じ会社にいる気になれず、店員を募集していた「三三九」に就職した。しかし、客にお茶を出すのを忘れたり、洗い物を嫌がったりする三都は、店員としては全く使いものにならなかった。 その頃、荒物屋の二階に勝手に世帯道具を持ち込んだ唯一と素子は、元気と明子(井上順)・玉子(波乃久里子)夫婦を呼び出し、荒物屋の名津(長山藍子)・未絵(音無美紀子)を証人に、彼らの前で葡萄酒で三三九度の盃をかわした。しかも唯一と素子は、既に結婚届を区役所に出していた……。
唯一と素子が葡萄酒で結婚を誓い合った夜、歌は、夫の松永(久米明)が友達を連れて来ると言うのでご馳走を作って待っていた。だがその夜、友達も連れずに酔払って遅く帰って来た松永は、酔いつぶれてしまい、一人で鍵をかけて寝てしまったのだ。愛と育(大空真弓)は、締め出されてなく歌をなだめるのに一苦労だった。 一方、唯一の父・七之助(松下達夫)は、唯一を引き止めようとするあまり、自制心を失いかけている乙美(園佳也子)に、唯一と素子の幸福を考え、親らしく振舞ってやろうと言って聞かせるのだった。そんな七之助の話を聞いた松永と歌は、改めて唯一と素子の仲人を買って出た。 そんな日、健二(前田吟)が愛(水前寺清子)との結婚話を進める為、母・秋子(近松麗江)を連れて「魚平」にやって来た……。
唯一と素子の結婚パーティーは、千円会費の質素なものながら、心温まる祝いの席となった。その席に愛と連れ立って現れた健二は、今度は自分達の番だと言った。愛は、同席した元気(石坂浩二)の視線を感じながら、健二への返事を躊躇った。 その頃、マーケットの留守番をしていた元気の母・百子(葦原邦子)は育(大空真弓)に、元気を愛と結婚させたい自分の心を打ち明けていた……。
出版社の部長になった元気は、給料も上がり、結婚への自信も持ち始めた。 プロポーズのチャンスをうかがっていた元気は、出勤する朝、魚平の前を掃除していた愛に話し掛け、自分がデザイン部長になった事を報告した。そして、三食昼寝付きを保障するから家に来てくれ……というプロポーズをしたのである。だが元気のプロポーズの仕方について反発した愛は、自分は猫の子じゃないと言って断わってしまった。 元気に心にも無い悪態をつきながらも後悔の涙を流す愛、そんな涙も知らず、愛と喧嘩別れする元気だった。 この日、愛は健二にもはっきり結婚を断った。それを聞いた健二は、ワッと泣きながら「魚平」を飛び出して行った……。
愛は、元気のプロポーズに対し、元気が嫌で断ったのではなかった。元気のどうでもいい様なプロポーズの仕方に反発しただけだった。その証拠に、元気に悪態をつきながら陰で泣いていた。 育(大空真弓)は、そんな愛の心を知っていた。育は、愛と元気をもう一度二人だけで会わせてやろうと、寺の境内に無理矢理引っ張り出した。 一方、明子(井上順)も、プロポーズはもっとロマンチックにやるものだと兄の元気に教え、育と連絡し合って元気を境内に連れ出した。 桜の蕾が膨らみ始めた木の下で、愛は、その陰に元気が居るとも知らず、育に促される。
愛は元気との結婚話を勧める前に、先に断った健二(前田吟)の親のところへ謝りに行かなければならなかった。そんな時、急にやって来た健二の母(近松麗江)は、健二が勝手に結婚を解消して申し訳ないと言って、平謝りに謝るのだった。健二は愛をかばう為、自分が愛を断った型に治めようと考えたのだった。 そんな時、三三九(児玉清)の弟・行司(新克利)が、突然、三都(小鹿ミキ)と結婚すると言い出し、愛にふられて泣いたはずの健二に、新しい恋人が生まれようとしていた。
健二と名津の話を冗談半分に聞いていた愛は、健二がその年上の女・名津に燃やす恋慕が並々ならぬものである事を知って、健二を励ますのだった。 そんな時、中央肉店では大騒動が持ち上がっていた。明子(井上順)が、昨夜、唯一(岡本信人の母・乙美(園佳也子)に暗がりで驚かされ、そのショックで倒れてしまったのだ。ところが不思議な事に、乙美は同時刻家で寝ていて、一歩も外へ出なかったと言うのだ。 次にそのミステリーじみた事件に遭遇したのは、早くも名津に愛の告白をして自身満々となった健二だった。その夜、乙美が薄気味悪い微笑を浮べて魚平に現れた……。
健二達の前に怪しげな姿で現れたのは唯一の母・乙美だった。乙美は、結婚した唯一が口うるさく小言を言う為精神的に参ってしまい、知らないうちに奇怪な行動をとっていたのだ。乙美の奇怪な行動も、ノイローゼが原因だとわかり、マーケットの住人は胸を撫で下ろした。 一方、健二と名津の結婚話は進み、愛と元気(石坂浩二)の結婚式と一緒の合同結婚式説まで飛び出していた。 そうした中で三三九(児玉清)は、妹・桔梗(佐良直美)、弟・行司(新克利)の結婚話に刺激されて、右子(草苗光子)にプロポーズしようと考えた。
健二の発案で、愛と元気、健二と名津の二組の合同結婚式が、花開く四月、仏前で行われた。合理的で経済的な式は、皆に喜ばれ、二組のカップルはマーケット中の人達に祝福され幸せいっぱいだった。 また、マイホームを建てる為夜警までしていた唯一(岡本信人)は、ついにその無理がたたり、配達の途中で倒れてしまったが、妻の素子(沢田雅美)の看病の甲斐あって元気を回復。いたわり合いのある温かい家庭を作ろうと話し合っていた。 一方、三三九(児玉清)はふられたと思っていた右子(草苗光子)が戻って来た為、天にも昇る気持ちだった。
シーズン3は全53話
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